データ流通の実現が事業発展のカギ ―データ流通推進協議会 理事 杉山氏インタビュー

IoT時代の事業発展において、データ活用が重要であることは多くの企業が理解している。しかし現状では、自社データを自社で利用するケースにとどまっており、データを提供、もしくは外部データを入手するといった「データ流通」には二の足を踏んでいる状況が見受けられる。さまざまなハードルを乗り越えて、データを流通させようとしても、スタンダートな仕組みやルールが明確ではない。

総務省と経産省は、データ流通、データドリブンの実現は、日本の産業活性化・国際競争力の強化に資する重要な社会使命であると考えている。そこで、データ流通事業の健全な成長のために、データ流通事業者や関連事業者による連携を推進し、適切な運営確保に取り組むために、データ流通推進協議会を設立した。

今回、データ流通の現状や未来について、一般社団法人データ流通推進協議会 (Data Trading Alliance)理事 杉山 恒司氏(トップ写真)に話を伺った。(聞き手:株式会社アールジーン 代表取締役/IoTNEWS 代表 小泉耕二)

杉山 恒司氏プロフィール
NTT本社(分割前)情報システム関連部門及びグループ企業にて、約16年間システムエンジニア、システム営業、新規事業開発等を担当。その後、IT系ベンチャー企業を経営し、株式会社ウフル入社後、開発部門長、人事総務部門長、営業部門長、アライアンス部門長などを担当。IoT事業の立ち上げ、IoTイノベーションセンターの企画立案設立を行う。社外活動として、大分県商工労働部戦略アドバイザー、一般社団法人データ流通推進協議会理事に就任。全国各地での講演活動、大学等教育機関での講師、各業界専門誌への寄稿、共著に「IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書(SBクリエイティブ)」など。

 

小泉: 一般社団法人データ流通推進協議会(以下、DTA)について教えてください。

杉山: 日本中に点在するセンサーデータや人流データ、SNS情報などあらゆるデータを、企業や業界の垣根を超えて流通・連携させることにより、データ流通ビジネスを行うことが可能になります。

データ流通推進協議会は、それを実現する企業や団体のための仕組み創りを推進しています。例えば、GAFAに代表される米国の企業では、長期間データを溜め続け、それをあるタイミングで大きなお金に変えるビジネスをしています。だからといって、今からひとつの日本企業が4~5年データを溜めても、到底太刀打ちできません。そこで、日本政府が考えたのが 「つながる」ということです。

今は、モノを作ることだけが製造業ではない時代です。さまざまな業種、企業、人、データ、機械などがつながって、新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性を向上させ、高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会課題を解決しましょう、というのが国の方針「Connected Industries」です。これらを通じて、産業競争力の強化を期待します。

小泉: どういった分野を対応していくのでしょうか?

杉山: まず経産省など政府は5つの重点分野を定め、DTAと連携し作業していくことを宣言しました。その5つとは、自動走行・モビリティサービス、ものづくり・ロボティクス、バイオ・素材、プラント・インフラ保安、スマートライフです。今、この5つの分野で基準作りに着手しています。

データ流通の実現が事業発展のカギ ―データ流通推進協議会 理事 杉山氏インタビュー
一般社団法人データ流通推進協議会 (Data Trading Alliance)理事 杉山 恒司氏

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